豆知識
飲用療法

温泉療法の一つで、日本では温泉といえばすぐに治療法を連想するが、温泉の少ない欧州では、むしろ飲用療法の方が主です。鉱泉は元来、種々の化学的成分が天然に含まれた水溶液であるから、その成分や濃度に応じ、適当に薄めたり、あるいはそのまま飲用することで薬物療法と同じ効果を期待できるわけです。

 

したがって、一種の薬物療法でありますから、医学的に十分に研究した上で、また多年の経験により初めて患者に推奨されるべきもので、濫用すべきではありません。

 

欧州では温泉療養生活の一日のプログラムのうち、最も重要なものがこの朝夕の飲用療法です。いわばミュージック療法を併用したこの飲泉所は、なかなか優雅なものです。通常は泉源地で行なわれます。

 

一方、この温泉をビン詰めして都会地で市販しているものもあります。日本における温泉飲用の事実は、文献上日本書紀の持統天皇の条下にあり、多くの病者を治療したといいます。