豆知識
受胎調節

今回のテーマは、内科よりも産科に関係の深い受胎調節です。

 

性交を営みながら避妊法を講じて一時的に受胎することを制限して産児の数あるいは産児の間隔を調節することをいいます。

 

産児制限としばしば同義に解されますが、産児を制限するには結婚を避けたり結婚の時期を遅くしたりあるいは妊娠した場合に人工中絶術や堕胎を行なうような方法もありますから、受胎調節と産児制限とは、区別されるべきものであります。

 

また手術やX線照射を用いて妊娠しないようにするのは調節のできない受胎防止法で、これは不妊法と呼ばれます。

 

受胎調節は医学的適応(妊娠、分娩で母体の健康が害されたり生命が危くなる場合)、優生学的適応(遺伝性の変質疾患がある場合)、あるいは社会的適応(経済上、職業上の事情などで出産が家庭や社会の重荷になるような場合)などのために行なわれます。

 

しかし、方法がよくないと健康を害し、知識階級や有産階級の者ばかりが用いれば非知識階級や無産階級の者がふえて逆淘汰の現象をきたし、またこれを乱用することによって人口の減少、国家の哀微や性道徳の頽廃が起こるおそれがあります。