内科
禁煙

タバコの健康被害

 

タバコの煙の中には約250種類もの有害物質が含まれており、様々な病気の原因となります。タバコには害しかありませんので、禁煙をして健康を取り戻しましょう。喫煙が原因の1つとなる病気と影響の一部をあげます。

 

ガン

肺ガン・咽喉ガン・尿路ガンなど、全てのガン発症率が上昇
 
呼吸器疾患

慢性閉塞性肺疾患(COPD)・気管支喘息・肺炎など

 

循環器疾患

脳卒中・冠動脈疾患・末梢動脈疾患・大動脈解離など

 

歯科口腔外科疾患

歯周病・歯の喪失・むし歯など

 

妊娠・出産への影響

不妊症・勃起不全(ED)・早期胎盤剥離・乳幼児突然死症候群(SIDS)など
 
その他の影響

胃潰瘍・糖尿病・脂質異常症・骨粗しょう症など

 

タバコの影響は1つではなく、様々な疾患となって現れます。日本で1年間にタバコが関連する疾患で亡くなる人は12~13万人で、喫煙者の平均寿命は非喫煙者に比べて10年短いとされています。喫煙が寿命を縮めることは、明らかなのです。

禁煙が難しい理由(ニコチン依存症)

禁煙しようと思ってもなかなかやめられないのは、ニコチン依存症と呼ばれる病気だからです。ニコチンはタバコを吸うと急速に肺から吸収され、脳に到達します。
 
ニコチンが脳にあるニコチン受容体に結合すると、ドーパミンがたくさん出て快感が得られます。しかし、ニコチンはすぐに消えてしまう上に、ニコチンを摂取し続けることで、本来自然に出るべきドーパミンが出にくくなってしまいます。
 
ドーパミン以外にも、セロトニン(精神の安定)・ノルエピネフリン(覚醒作用)・アセチルコリン(覚醒作用・作業効率の上昇)などの分泌が落ちます。

 

それによりタバコを吸わないと、ニコチンが切れて脳内の刺激物質が減少し、イライラ・集中力低下・ソワソワ・喫煙欲求・抑うつなどの症状が現れます。これを禁断症状(医学的には離脱症状)と言い、禁断症状を解消するためにタバコを求めることが身体的依存と呼ばれる状態です。

 

また、タバコを吸うことで得られる幸福感・爽快感を求めて喫煙すること、日常の習慣として喫煙してしまうことを、心理的依存と呼びます。実は身体的依存は禁煙3日ほどで解消するため、心理的依存が禁煙の大きな妨げとなることがほとんどです。
 
起床後の一服、食後の一服など喫煙が生活の一部になるほど、禁煙は難しくなります。ニコチンの依存性はヘロインやコカインなどの麻薬よりも高く、禁断症状の強さも同レベルです。タバコが止められないのは本人の意思が弱いのではなく、ニコチン依存症という病気の難しさが理由なのです。

タバコをやめるどうなる

タバコは何年吸い続けていても、禁煙すれば必ず良い影響が得られます。仮に50歳で禁煙しても約6年、60歳で禁煙しても約3年寿命を伸ばせると言われています。

 

また、タバコをやめると、味覚や嗅覚の変化により、食べ物が美味しくなったと感じるケースがあります。(ただし、禁煙後に口寂しさや食べ物の美味しさから、太ってしまう方が多いため注意しましょう。)

 

他にもよく眠れるようになり目覚めがスッキリする、肺活量が回復して運動機能が改善するなどの良い影響もすぐに実感できます。さらに禁煙を継続することで、タバコにより慢性的に出ていた咳や痰が出なくなり、禁煙1年後には呼吸器疾患リスクが大幅に減少します。

 

禁煙後2~4年経つと、循環器疾患のリスクも低下するでしょう。その後も禁煙を続けることで、ガンの発症リスクも非喫煙者と同等レベルまで下がっていきます。

禁煙治療の方法

ニコチン依存症は病気と考えられるようになり、2006年から保険診療にて禁煙治療を受けられるようになりました。ただし保険診療が可能なのは、以下の条件に全て当てはまる場合のみです。
 

  • ・直ちに禁煙する意思がある
  • ・過去に保険診療で禁煙治療を受けたことがある場合、前回の初回診療から1年経過している
  • ・1日のタバコの本数×喫煙年数で求められる喫煙指数が200以上
  • ・ニコチン依存症テストが5点以上

 
(参考:TDSニコチン依存度テスト e-ヘルスネット厚生労働省)
 
禁煙治療は、12週間を基本として行われます。診察回数は初回、2週間後、4週間後、8週間後、12週間後の計5回です。病院での禁煙治療は、禁煙補助薬と呼ばれる薬を用いて行われます。禁煙補助薬は2種類あり、患者さんと相談してどちらを使うか決めます。
 
チャンピックス錠(内服薬)

ニコチンを含まず脳に作用して、離脱症状を抑えます。喫煙の満足感を軽減し、喫煙欲求を抑制します。1日2回朝と夜に12週間服用します。
 
ニコチネルTTS(貼付薬)

適量のニコチンを皮膚から補充することで、離脱症状を抑えます。ドラッグストアに売っているニコチン含有貼付薬よりも、ニコチン含有量が高いものからスタートします。

 

少しずつニコチン含有量の少ない薬に変更することで、無理なく禁煙治療ができます。1日1回腕や背中に貼り、8週間継続します。通常は禁煙治療効果の高い、チャンピックス錠を使用します。ただし、チャンピックス錠には眠気が出やすいという特徴があるため、車の運転や高所作業などをする方にはニコチネルTTSを薦めます。
 
ニコチネルTTSは用量を減らすと喫煙欲求が出やすいので、ガムを噛むなど吸いたくなったときに代わりとなる行動を決めておきましょう。また精神疾患の治療中である場合、チャンピックス錠を服用すると症状が悪化する可能性があるため、医師とよく相談の上で禁煙治療を開始することが大切です。