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狐つき
日本の古い迷信では、狐は化け、人をだまし、人について病気にさせる能力を持っていて、精神病の原因も狐がついたためと考えました。したがって治療は「狐落し」です。ある家系に精神病者が出ると「狐持ち」の家系として村八分にしました。
今もその影響が残り、たとえば精神分裂病者が「狐が体に入りこんで自分の行動を支配する」とか、「心身の不調は狐のためだ」といったり、狐に化身したと信じて狐に似た言動をすることもあります。
狐のほか犬神もあります。つきもの妄想の一つです。西洋では人が狼にばけて他人に害を与えるとの神話が精神症状形成に影響し、狼化妄想があります。犬その他獣化妄想もあります。
精神分裂病以外に心因精神病にも起こります。ただし、民話が語り伝えられる環境で起こりやすく、近代合理主義社会では減少の一途をたどっています。しかし、まだ精神病を悪霊や魔女のせいにする魔女思想はどこかにひそんでいて、正常な精神衛生思想普及に害を及ぼすことがあります。