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痙笑《痙攣笑い、ひきつり笑い》
痙笑(けいしょう)とは、破傷風菌に感染した際に現れる独特の症状であり、痙攣笑い・ひきつり笑いと呼ぶこともあります。
破傷風の原因となる破傷風菌は、神経細胞に作用して麻痺を起こす神経毒を産生します。破傷風菌の神経毒により筋硬直が現れると、最初に気が付くのは咬痙(こうけい:咬筋という口の筋肉が痙攣して口が開かないこと)です。
咬痙により開口不能となる際に、額に横に走るシワができるため眉が上がり、鼻唇溝(ほうれい線)が深くなって、さらに口が少し開いて歯が覗きます。このような破傷風の筋硬直によって苦笑いしたような顔貌を、破傷風顔貌とも言います。
破傷風になると痙笑・開口障害など局所的硬直ののち、呼吸困難など全身の痙攣・硬直と進行することがあり、重篤な場合には死亡します。治療は抗破傷風ヒト免疫グロブリン(TIG)や抗菌薬の投与などを行いますが、治療開始が遅れると効果が十分とならない可能性があります。
特に乳幼児が感染すると死亡率が高いため、平成24年以降は定期接種に導入されています。定期接種を行っていない方や、最後の摂取から10年以上経過した場合には十分な抗体がありません。
破傷風菌は土壌に存在するため、特に舗装の少ない先進国への旅行の際には接種しておくと良いでしょう。