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生活習慣病(メタボリックシンドローム)とは
食事・運動や喫煙・飲酒など、個人の生活習慣が発症に深く関わる疾患を、生活習慣病と呼びます。生活習慣病を代表する疾患には、以下の3つがあります。
- ・2型糖尿病
- ・脂質異常症(高脂血症)
- ・高血圧症
これら3つの疾患は、1つ1つが軽度でも組み合わさることで動脈効果リスクが高まります。糖尿病・脂質異常症・高血圧は自覚症状がほとんどないので、気付かない間に脳卒中や心筋梗塞になりやすくなっています。また、高尿酸血症・骨粗しょう症・歯周病なども、発症には生活習慣が大きく関わっています。
近年、これらの生活習慣病は肥満により起こりやすくなることがわかりました。そのため動脈硬化リスクを高める生活習慣病になりやすい状態をメタボリックシンドロームと呼び、早めの注意喚起を行っています。
日本人の三大死因であるガン・心疾患・脳血管疾患も、メタボリックシンドロームが引き金となることがあります。メタボリックシンドロームと言われた、もしくはいくつか項目に引っかかったという時点で生活習慣の見直しをすることが、重大な疾患の発症を防ぎます。
生活習慣病(メタボリックシンドローム)の診断
以下は、主な生活習慣病の診断基準です。
糖尿病の診断
糖尿病型
以下のいずれかに該当する場合、「糖尿病型」と診断されます。
・空腹時血糖が126mg/dl以上
・75g経口ブドウ糖負荷試験2時間後の血糖値が200mg/dl以上
・任意の時間の血糖値が200mg/dl以上
・HbA1cが6.5%以上
正常型
以下の両方に該当する場合、「正常型(糖尿病ではない)」と診断されます。
・空腹時血糖が110mg/dl未満
・75g経口ブドウ糖負荷試験2時間後の血糖値が140mg/dl未満
※ただし空腹時血糖100~109mg/dlは正常高値のため、注意が必要です。
境界型
・「糖尿病型」と「正常型」のどちらにも該当しない場合、「境界型」と診断されます。
境界型は、糖尿病型に限りなく近い状態です。境界型に該当する患者さんは、メタボリックシンドロームのことが多いのが特徴です。境界型と診断された患者さんには生活習慣の改善指導を行い、定期的に血糖値を測定して状態を確認します。
脂質異常症の診断
高TG(中性脂肪/トリグリセライド)血症
・TG値 150㎎/dl以上
高LDLコレステロール血症
・LDLコレステロール値 140㎎/dl以上
境界域高LDLコレステロール血症
・LDLコレステロール値 120~139㎎/dl以上
低HDLコレステロール血症
・HDLコレステロール値 40㎎/dl未満
メタボリックシンドロームの方は、特に中性脂肪(TG)とHDLの数値に注意しましょう。メタボリックシンドロームによる動脈硬化には、LDLよりも中性脂肪とHDLが深く関わっているためです。
高血圧症の診断
Ⅰ度高血圧
・収縮期血圧140~159mmHg かつ/または 拡張期血圧90~99mmHg
Ⅱ度高血圧
・収縮期血圧160~179mmHg かつ/または 拡張期血圧100~109mmHg
Ⅲ度高血圧
・収縮期血圧180mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧110mmHg以上
正常値は収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満の場合で、正常値とⅠ度高血圧症の間は数値により正常高値血圧、高値血圧と呼ばれます。家庭で血圧を測定する場合には、各数値を5ずつ下げて判断してください。
併せて、メタボリックシンドロームの診断基準も見てみましょう。
メタボリックシンドロームの診断
ウエスト周囲径(内臓脂肪蓄積)
メタボリックシンドロームの診断は、以下に該当することが必須です。
・男性85cm以上
・女性90cm以上
ウエスト周囲径は、通常ヘソの上で計測します。
生活習慣病選択項目
以下の3つの項目のうち、2つに該当するとメタボリックシンドロームと診断されます。
・空腹時血糖110mg/dl以上
・高TG血症(TG150㎎/dl以上)かつ/または低HDLコレステロール血症(HDLコレステロール値 40㎎/dl未満)
・収縮期血圧130mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上
薬物治療により血糖値・TG・HDLコレステロール・血圧が正常値となっている場合も、項目に該当すると判断します。
生活習慣病(メタボリックシンドローム)になりやすい方
生活習慣病に関わる4つの大きな要素は、食事・運動・喫煙・飲酒です。生活習慣病になりやすい習慣を、以下にまとめます。
食事習慣
・早食い
・味の濃いものを好む
・満腹になるまで食べる
・野菜をあまり食べない
・ファーストフードを好む
・朝食を食べない
・丼ものが多い
・夜遅くに食事をする
運動習慣
・車での移動が多い
・座ったまま仕事をしている
・外出が少ない
・運動をする習慣がない
喫煙習慣
・喫煙をしている
飲酒習慣
・毎日飲酒している
・飲酒量が多い
体質的にも、生活習慣病になりやすい方と、そうではない方がいます。家族に糖尿病・脂質異常症・高血圧の人がいる方は、より生活習慣に気を付けましょう。
生活習慣病(メタボリックシンドローム)の改善方法
生活習慣病やメタボリックシンドロームを指摘されたら、生活習慣の見直しをしましょう。
食事習慣の改善
・和食中心の食事をする
・だしを上手に使って、味付けを薄くする
・ベジファーストを心がける(野菜を最初に食べる)
・腹8分目の量を、よく噛んで20分以上かけて食べる
和食は脂質が低く、品数も多くなるため自然とバランスの良い食事ができます。だしの風味を感じると塩分が低くても満足度が高いため、上手に活用しましょう。また、早食いは食べ過ぎの元になりますので、よく噛んで時間をかけて食べることが大切です。
運動習慣の改善
・ウォーキング・ジョギングなど気軽な運動から始める
・通勤や買い物で、意識的に歩く機会を増やす
・自宅でできる簡単な運動を取り入れる
生活習慣病の改善には、1回30分以上の運動を週3日以上すると良いと言われています。生活の中に、ウォーキング・ジョギングをする時間をつくったり、自宅でもラジオ体操や足踏み・踏み台昇降運動など、簡単な運動を取り入れるとよいでしょう。
喫煙習慣の改善
・完全禁煙を目指す
喫煙は生活習慣病を招くだけではなく、様々な健康被害をもたらします。病院で禁煙治療を受けるなど、早めの完全禁煙を目指しましょう。
飲酒習慣の改善
・飲酒は1日日本酒換算で1合まで
・週に2日は休肝日をもうける
飲酒は適量なら問題ありませんが、量が多すぎると生活習慣病に悪影響を与えます。1日の飲酒量の目安は、男性で日本酒1合・ビール中ビン1本・ウイスキーダブル1杯のいずれかです。(女性はこの2/3)
アルコールの種類も、日本酒やビールは糖質が高く糖尿病や肥満の原因となるため、蒸留酒など糖質が含まれないものを選ぶと良いでしょう。また、週に2回は休肝日を設けて、肝臓を休ませましょう。
生活習慣病(メタボリックシンドローム)の治療方法
糖尿病や脂質異常症・高血圧を指摘された場合、すぐに薬物治療を開始するとは限りません。基準値から多少の逸脱があっても、食事指導や運動指導を行い様子を見ることもあります。
特にメタボリックシンドロームの患者さんは、減量により数値が改善することも珍しくありません。生活習慣病を指摘されたら、まずはBMI22を目指して減量しましょう。
合併症がある場合や数値が基準値から大きく外れている場合には、すぐに薬物治療を始めることもあります。生活習慣病に対して薬物治療を始めると、状態や使用する薬によりますが2週間~1ヵ月ほどで数値が下がってくることが多いです。
ただし薬物治療で生活習慣病の数値が改善しても、薬を止めると元に戻ってしまいます。生活習慣病の治療は薬物治療と平行して、減量を中心に食事習慣や運動習慣の改善が欠かせません。医師や栄養士などとよく相談し、治療目標や減量目標を立てましょう。
生活習慣病は身近な病気ですが、命を危険にさらす重大な疾患に繋がっています。生活習慣病の大きな原因となるメタボリックシンドロームにできるだけ早く気が付き、生活を改善することが大切です。日ごろから自宅でウエスト周囲径・血圧を測定し、定期的に血液検査を受けましょう。