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心房細動とは
心臓は60~100程度の一定のリズムで拍動(収縮・拡張)し、血液を全身に送り出しています。このリズムを生み出しているのは、心房(心臓の上部)にある洞結節という部位から発生する電気刺激です。
洞結節から発生した電気刺激は、心房と心室の中間にある房室結節と呼ばれる部位を通り心室(心臓の下部)に刺激が伝わることによって、一定のリズムで拍動しています。
ですが、ストレスや加齢、心臓病などの疾患が原因となり洞結節以外からも電気刺激が多数発生してしまうことがあります。この異常な電気刺激により心房が不規則に動いてしまう状態を心房細動(不整脈の一種)とよびます。
心房細動の患者数は増加傾向
高齢化に伴い、心房細動の方が増加しています。国の報告(2003年)では、心房細動の有病率は、80歳以上で男性約4.4%、女性約2.2%の報告があります。80歳以上で10%の有病率とする欧米の報告より、日本の心房細動の有病率は低めです。国の報告は、定期健診の横断調査に基づいております。
したがって、心房細動の不整脈発作が時々起こる、発作性心房細動の見逃しの可能性や病院に通院中の患者は健診を受診していない可能性があり、心房細動の有病率を過小評価している可能性があります。
心房細動になるとどうなる
心室頻拍や心室細動のような不整脈と比較して、心房細動は突然心停止に至り、直接的に死に至る可能性は極めて少ない不整脈であります。しかしながら、発症するとその後の生活に多大な影響を引き起こす脳梗塞の原因として非常に注目されています。
心房細動は、症状が非常に強い方から全くない方まで多岐にわたり、症状がないからといって脳梗塞のリスクが低いわけではないため、対応に留意が必要です。
心房細動になると頻脈になり、動悸がひどくなることがあります。頻脈から急性心不全にあることもあります。長期に心房細動が持続すると、運動すると少し息苦しいとかの症状が出る慢性心不全になることがあります。
心房細動の危険因子
心房細動になりやすい人の特徴は様々検討されていますが、非常にたくさんのリスク因子が提案されています。
40歳未満では遺伝要因が心房細動の発生に関与する割合が大きいですが、年齢の増加とともに、加齢による基質発生、増加、心血管疾患による基質の発生、増加の関与が大きくなってくるとされています。現時点では心房細動の発生について、有効な抑制手段がないとされています。
心房細動による脳梗塞予防と出血性合併症の予防
心房細動により心臓内に発生した血栓による脳梗塞予防のために、血液をサラサラにする抗凝固薬内服が勧められます。しかし、抗凝固療法には、少ないながら大出血のリスクもあります。血液をサラサラにしながら、一方で出血しないようにする必要があり、相反する作用をうまくマネージする必要があります。
現在では、研究成果が蓄積され、どのような患者さんが、どのぐらいの割合で脳梗塞を起こす可能性があるのか?どのぐらいの割合で大出血を起こす可能性があるのか?の推定が可能になっています。治療薬の選択や期間は、医師とご相談いただくのが良いと考えます。
また、必要時には、心房細動によって形成される血栓ができやすい心房内の部分に対し、蓋をしたり切り取ったりする治療法も確立されてきております。
不整脈としての心房細動の治療
心房細動の患者数の増加とともに、侵襲治療が日々進歩してきています。心房細動の治療については、従来から施行されている脳梗塞予防の抗凝固療法のみではなく、患者の同意のもとに、薬物療法やアブレーションの適応も検討されます。
主に、心房細動の症状を改善するのみでなく、不整脈そのものを改善させて正常脈にしようとする方法です。一般に心房細動の発症からの時間が短いほど治療効果が良いようです。
心房細動そのもの治療をお考えの際には、明確な心房細動の罹患期間を推定するために、以前の心電図の記録(できれば現物:グラフのようなもの)や検診やドックの記録などをご持参いただければ大変参考になるかと思われます。
みたか内科循環器内科での対応
心房細動は、非常に多い疾患です。初動対処としては、脳梗塞の予防を考えます。その際には、薬物治療による出血性合併症のリスク見積もりを評価します。
心房細動の症状が強い場合、正常脈への復帰が今後の生活に有用である場合や患者様のご希望があれば専門病院と連携の上、最新の侵襲治療が可能です。侵襲治療後は、内服治療の継続など専門知識が必要ですので、通院しやすい当院での内服治療も可能です。ご相談下さい。