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糖尿病とは
糖尿病とは、何らかの原因でインスリンが正常に働かず、血糖値が高い状態が続くことをいいます。
インスリンとは膵臓から分泌されて、血糖値を下げるホルモンです。食事によって血糖値が上昇するとインスリンが出て、細胞が血液中のブドウ糖を取り込み血糖値が下がります。
糖尿病は1型と2型の、大きく2つに分けられます。
1型糖尿病
自己免疫疾患などによりインスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島が機能を失う病気で、インスリン依存型糖尿病とも呼ばれます。多くの場合はインスリンが全く分泌されないため、注射製剤などでインスリンを外部から補充する必要があります。
メタボリックのイメージがある糖尿病ですが、1型糖尿病は体型と無関係です。子どもなど、比較的若い世代で発症しやすい病気です。糖尿病患者さんの中で、1型糖尿病は20人に1人程度に止まります。
環境・体質によりインスリンが不足したり(インスリン分泌低下)、インスリンが正常に働かなくなる(インスリン抵抗性)病気です。インスリン非依存型糖尿病とも呼ばれます。中年期以降に発症しやすいですが、ゆっくりと進行するため発症に気が付かない場合も少なくありません。
「糖尿」と名前がつきますが、糖分の過剰摂取だけが原因になるわけではありません。単純なカロリー過剰や、運動不足・肥満が主な引き金になります。最新の調査で日本人の糖尿病人口は328万人を超えており、年々患者数が増加傾向している病気の1つです。
【参考】:糖尿病患者数が過去最多の328万人超に増加 【2017年患者調査】
以下では、多くの糖尿病患者が該当する2型糖尿病を基本として解説します。
糖尿病の症状
糖尿病は初期のうち、ほとんど症状がありません。健康診断などで高血糖を指摘されても、症状がないため放置してしまうケースが多い病気です。
しかし高血糖を放置すると様々な合併症を引き起こし、時には命に関わることもあります。糖尿病は高血圧と同様にサイレントキラー(静かなる殺し屋)と呼ばれています。健康診断で高血糖を指摘された、もしくは以下の症状がある場合は、早めに近くの内科で相談しましょう。
【糖尿病で現れやすい症状】
•喉が渇きやすい
•トイレの回数が多い
•皮膚の痒みが続く
•ダイエットしていないのに体重が減る
•足のしびれや足のつりが多い
•目が見えにくくなった
•ED気味になった(男性のみ)
糖尿病と診断されても、症状にほとんど気が付かなかった方は少なくありません。早めに糖尿病に気が付くためには、定期的に健康診断を受けることが大切です。
糖尿病になるとどうなる
糖尿病になっても、すぐには身体に変化が起きません。しかし高血糖状態が続くことで血糖が血管にダメージを与え、徐々に血管がボロボロになっていきます。
血管のダメージは細い血管(毛細血管)から影響が出るため、毛細血管が集まる器官(腎臓・手や足・網膜)から合併症が発症します。
【糖尿病の三大合併症】
•糖尿病性腎症
•糖尿病性神経障害
•糖尿病性網膜症
これらの合併症を放置してしまうと、失明や手足の壊疽(それによる切断)・透析となる可能性があります。また三大合併症が起きる遥か前から、身体には変化が起こっています。
それは動脈硬化の進行です。動脈硬化は、食後高血糖などの高血糖により進行します。糖尿病患者の心筋梗塞を起こす危険度は健常者の3倍以上、脳梗塞では2~4倍と言われています。
この傾向は、高血糖の程度の軽い境界型糖尿病でも見られます。血糖値が高いことに気が付いた時点で、生活習慣の改善を考えることが大切です。
糖尿病になりやすい方
2型糖尿病は、環境と体質の2つの要因が重なって発症します。以下の項目に当てはまる数が多いほど、糖尿病になりやすいため日ごろから注意が必要です。
糖尿病の環境要因】
•摂取カロリーが多い(食べ過ぎ)
•運動不足
•肥満
•加齢
•ストレスが多い
糖尿病の体質(遺伝要因)
糖尿病自体は遺伝しませんが、インスリン抵抗性(インスリンの働きが悪い)体質は遺伝することがあります。
また、2型糖尿病が起きやすい年齢は40代です。しかし、糖尿病の要因がある方は早いうちから血糖値をチェックしておく必要があります。若いときから食事・運動に気を付けることで、糖尿病の発症を遅らせたり防ぐことができます。
糖尿病の予防方法
糖尿病にならないためには、日ごろから食事と運動に気を配ることが大切です。具体的に実践したい内容をご紹介します。
糖尿病にならないための食事
•適正カロリーに抑える
•ベジファーストを心がける
•バランスよく食べる
特別に運動や肉体労働をしている人を除くと、1日に必要なカロリーは男性で2,000~2,400kcal、女性は1,600~2,000kcal程度です。今食べているものはどれくらいのカロリーがあるのか、意識して食べましょう。
また血糖値の上昇を抑えるためには、野菜から最初に食べるベジファーストが大切です。食物繊維が多い野菜から食べることで胃の中に層ができ、炭水化物による血糖値の上昇が緩やかになります。
日本人の伝統的な食べ方は「三角食べ」ですが、身体のことを考えて野菜→タンパク質→炭水化物という順番で食べましょう。また、特定の食品ばかりだけではなく、バランスよく食べることも重要です。
バランスの整った食事は、炭水化物50~65%、脂質20~30%、タンパク質13~20%です。丼物など1品料理はバランスが崩れやすくカロリー過多となるため、できるだけ避けたほうがよいでしょう。
【参考】:健康になる!1日に必要なカロリー「推定エネルギー必要量」
糖尿病にならないための運動
•1日20分程度の有酸素運動
•隙間時間で無酸素運動(筋肉トレーニング)
有酸素運動を行うことで、消費エネルギーが高まり肥満の解消・予防ができます。通勤時間に歩くなど、生活の中に無酸素運動を意識的に取り入れてみましょう。自宅でできる踏み台昇降運動や足踏みランニングなどもおすすめです。
加えて基礎代謝を上げるために、筋トレも効果的です。大きな筋肉を鍛えると効率が良いので、足の筋肉を中心に鍛えるとよいでしょう。自宅でも簡単にできるのは、スクワットやもも上げ運動などがおすすめです。どちらも無理のない範囲で、長く続けることを意識しましょう。
糖尿病の治療方法
糖尿病は、血糖値の測定により以下のように診断されます。
【糖尿病型】
以下のいずれかが確認された場合、後日再度検査して同じ結果であれば糖尿病と診断されます。
•空腹時血糖値126mg/dL以上
•75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dL以上
•時間に関係なく測定した血糖値が200mg/dL以上
•HbA1Cが6.5%以上
【正常型(糖尿病ではない)】
以下のいずれかが確認された場合、糖尿病ではないと診断されます。
•早朝空腹時血糖値110mg/dL未満
•75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値140mg/dL未満
【境界型】
「糖尿病型」「正常型」のどちらにも該当しない場合、境界型と診断されます。境界型は糖尿病型の予備軍のため、定期的な検査が求められます。
糖尿病型と診断されても、すぐに薬物治療が開始されるとは限りません。基本的には食事療法と運動療法を取り入れ、血糖値が下がるか観察します。
糖尿病治療の食事療法・運動療法は、上記の「糖尿病の予防方法」と基本的に変わりません。肥満傾向が強い場合には、さらに厳格な食事療法が指導される場合もあります。
食事療法と運動療法を行っても血糖値が下がらない場合、もしくは合併症や基礎疾患がある場合には薬物治療を開始します。
糖尿病の薬物治療
糖尿病の治療薬は以下の中から、患者さんごとの生活習慣や症状・血糖値により医師が総合的に判断して決定します。
【糖尿病の内服薬(経口血糖降下薬)】
•SU(スルホニル尿素)薬
•BG(ビグアナイド)薬
•αグルコシダーゼ阻害薬
•即効性インスリン分泌促進薬
•インスリン抵抗性改善薬
•DPP-4阻害薬
•SGLT2阻害薬
【糖尿病の注射薬】
•インスリン製剤
•GLP-1受容体作動薬
近年低血糖などの副作用が出にくい薬が増えていますが、体質や食事リズムと薬が合わないこともあります。めまいやふらつき、だるさなどの体調不良を感じたら、早めに主治医に相談しましょう。