豆知識
老化現象

広く年齢の増加に伴う変化を加齢現象と呼びますが、加齢に伴い生理機能の低下が起こることを老化現象と言います。老化は等しく誰にでも起きますが、その程度や速度は個人差が大きいものです。一般的には40歳以降から、老化を感じる人が多くなります。

 

加齢による老化現象では、主に以下のような機能の低下が見られます。

 

骨格系の老化


骨密度が低下して骨折しやすくなったり、関節液が減少して関節の痛みや炎症が起きやすくなります。

高齢者の身長が低くなるのも、骨格系の老化現象の1つです。

 

筋肉や脂肪の老化


筋肉は減少し、体脂肪は増えやすくなります。

若いときに比べて、運動しても筋肉がつきにくくもなります。

筋肉が少なく体脂肪が多すぎることは、糖尿病などの生活習慣病を引き起こす原因になります。

 

心血管系の老化


血管が固くなり心臓が血液を送り出すときに血管が拡張しにくくなるため、血圧が高くなります。

心臓に負担がかかる状態が続くと、心不全など心血管疾患を起こす可能性があります。

 

呼吸器系の老化


肺胞の減少や呼吸に必要な筋肉の衰えにより、取り込める酸素の量が減少します。

気道から異物を排除する機能も落ちるため、感染症にかかりやすくなります。

 

消化器系の老化


消化機能自体はそれほど老化の影響を受けませんが、嚥下能力や咀嚼力の低下によって誤嚥性肺炎などの問題が起きやすくなります。

大腸の機能が低下して、便秘になりやすくなる人もいます。

 

脳神経系の老化


脳細胞が減少したり大脳が萎縮することにより、認知機能が低下します。

ほとんどの人において加齢と共に記憶力は低下しますが、必ずしも認知症になるわけではありません。

 

免疫系の老化


加齢により免疫系の能力が落ちるため、ウイルスなど有害な異物を除去できなくなります。

がん細胞に対する免疫機能も落ちるため、年齢と共にがんにかかる人が多くなります。

 

老化が起きるメカニズムは、まだ完全には解明されていません。成育→成熟→老化という生物現象を進行させる因子が存在すると思われますが、その因子は1つではなく多種多様な機構の上に成立すると推測されています。

 

老化の1つの原因として、過剰な活性酸素が正常な細胞や遺伝子を攻撃してしまうことと考えられています。活性酸素を増やさないためには、タバコやアルコールを控え、適切な体重を維持することや適度な運動を続けることが大切です。