豆知識
負荷心電図

負荷心電図とは、運動により心臓に負荷をかけた状態で測定する心電図のことです。労作性狭心症など、安静時には異常はないが運動すると症状が現れる心疾患を見つけるために行われます。

 

通常の心電図と同じように胸に電極をつけた状態で、運動を行い心電図を記録します。負荷心電図を行う方法は、階段昇降(マスター法)・自転車こぎ(エルゴメーター法)・早足歩行(トレッドミル法)と、負荷をかける運動別に3種類あります。

 

一番簡単で時間もかからないのはマスター法ですが、運動の負荷が十分ではなく異常が現れないことがあるのがデメリットです。自覚症状があるのにマスター法で異常が認められない場合には、エルゴメーター法やトレッドミル法が検討されます。

 

足腰に問題があり運動が難しい場合には、ドブタミンなど心臓を刺激する薬物を投与して試験することもあります。負荷心電図にて異常が認められた場合には、さらに詳しい検査を行います。

 

通常、不整脈の兆候が認められた場合にはホルター心電図や胸部X線検査、狭心症・心筋梗塞など虚血性心疾患の兆候が認められた場合には心臓エコー検査・心臓カテーテル検査・冠動脈造影検査・ホルター心電図などの検査を実施します。

 

心臓に負荷がかかったときにだけ起きる心疾患があるのは、運動時に通常よりも多くの血液が心臓から全身に送られるためです。もしそのとき冠動脈と呼ばれる心臓に栄養や酸素を送る血管が細くなっていると、心臓や筋肉に負担がかかり狭心症の発作が出ます。

 

運動により心拍数が増えると脈が変動する、運動誘発性不整脈という疾患もあります。これら運動時にのみ起きる心疾患は、通常の健康診断などで行われる安静心電図では異常が出ず見つけにくいため、本人が異常に気が付くことが大切です。

 

早歩きや階段を上るときに胸の痛みを感じる・脈に違和感があるなどの症状に気が付いたら、早めに医師に相談して検査を受けましょう。寒いときに胸痛や脈の飛びが出るのも、血管が細くなり負担がかかっている兆候です。

 

特に労作性狭心症の症状は5分程度で収まるため、あまり問題視せず狭心症が進行してから受診する患者さんが多い傾向にあります。狭心症や心筋梗塞・不整脈など心疾患は、早期発見・早期治療が重要です。

 

健康診断を受けている方でも油断せず、運動時や寒いときの胸の痛みや脈が気になったら医師に相談するようにしてください。