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生物個体がお互いに多少とも血縁関係を有するとき、それらの個体の間にはいろいろな点で似たところがあります。このような現象を遺伝と呼び、遺伝学はこのような遺伝現象を研究する科学です。
ですが裏から見れば「個体と個体の間」「生物の集団と集団の間」「生物の種や属の間」などに見られる違い(変異)の、生じる機序を分析する科学ともいえます。
つまり遺伝学は、遺伝情報を伝える遺伝質の働きだけではなく、環境との関係や遺伝質の変化・進化と遺伝の関係などを明らかにする役割を持っています。一般に「遺伝子疾患(遺伝性疾患)」と呼ばれる病気は、単一遺伝子疾患・染色体異常・多因子遺伝疾患の大きく3つに分けられます。
単一遺伝子疾患とは、親の持つ染色体や遺伝子の異常が子へ引き継がれることで発症します。単一遺伝子疾患の多くが、酵素の欠損などにより代謝に障害が起きる先天性代謝異常症です。
代表的なものにフェニルケトン尿症やメープルシロップ尿症があり、これらは出産後新生児に対して必ず実施される血液検査の新生児マススクリーニングで発覚します。
父と母の遺伝子の組み合わせによって発症するため、親が保因者で発症していなくても子どもが発症することがあります。染色体異常とは、遺伝に関わる生体物質である染色体の欠損や増加による疾患のことです。
代表的なものに、21番染色体が1本多いことによる遺伝子疾患のダウン症があります。染色体異常は親の遺伝子には異常がなくても、突然変異によって発症します。多因子遺伝疾患とは、遺伝と環境が相互に関わって発症する病気のことです。
例えば二分脊椎という脊柱管の形成不全の発症には遺伝子が関わっていますが、妊娠中に葉酸を摂取することで発症確率を下げることが可能なことがわかっています。
がんやリウマチも多因子遺伝疾患であり、家族にそれらの病気を持つ人がいると発症しやすくなりますが、発症するかしないかは生活環境によります。またその病気が発症したとしても、必ずしも遺伝のせいとは言い切れないのも、多因子遺伝疾患の特徴です。
ただし遺伝により発症しやすくなる病気の家族がいる場合には、生活に配慮するに越したことはありません。特に糖尿病・高血圧・高尿酸血症・高脂血症など生活習慣病に早くからかかった家族がいる方は、自身も十分に発症を警戒してください。
これらの家族歴においては隔世遺伝を考慮して、祖父母まで把握しておくと良いでしょう。