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貧 血
一定容積血液中に含まれる血色素量が正常範囲を超えて減少した状態を指します。血色素濃度の正常下限は明瞭に設定されておらず、したがって、これ以下であれば貧血とみなすべきであるという数値を具体的にあげることは困難でありますが、健常成人男子では13.0 g/dl、女子では11.0 g/dlが一応目安として用いられます。
貧血は、1)血色素の崩壊過剰(溶血)または血管外喪失(出血)、2)産生の減少、および3)両機序の合併により発生します。生体内における血色素の主要な役割は酸素運搬であり、したがって、貧血では、諸臓器の酸素欠乏に基づく症状が共通してみられ、このほかに、各種の貧血ごとに特有の症状が加わります。
貧血の診断に際しては、まず、血色素濃度の低下を証明したのち、貧血の種類を鑑別しなければなりません。その際には、赤血球数とヘマトクリット値から平均赤血球容積(MCV)を求め、貧血が小球性、正球性、大球性貧血のいずれに属するかを決定したのち、さらに必要な検査を選択していくのが能率的です。