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農夫肺
若葉が初夏の日ざしにまぶしく輝く季節となりました。みなさまお元気でお過ごしですか。さて、今回は「農夫肺」です。
農夫肺とは酪農関係者に多く見られる職業病であり、過敏性肺炎の一種です。野菜などを作る農家で働く人をイメージする「農夫」という言葉ですが、この場合には牛や馬などを育てる酪農家を指しています。
作業中に扱う干し草やたい肥などに発生する菌を吸い込むことで、肺に炎症が起きる病気です。似た病気に綿肺症というものがあり、こちらは綿や麻などの植物につく菌を吸い込むことで発症します。
農夫肺や綿肺症の原因物質(原因菌)を吸入すると、数時間後に重症のせき・息切れ・発熱・チアノーゼ(酸欠による皮膚の変色)などがみられます。繰り返し原因物質を吸入すると、体重減少・血痰・倦怠感が起こることがあります。
農夫肺はX線上間質性肺炎と似た陰影となり、肺生検により上皮細胞・巨細胞を伴った慢性の肉芽組織型の反応(アレルギーにより現れる)が見られます。検査のみで農夫肺と診断することは難しく、仕事内容について医師や看護師に話して初めて病名が確定することも珍しくありません。
アレルギーは大きく4つに分類されますが、そのなかでも農夫肺はIII型(アルサス型)に分類されます。治療は原因物質からの隔離が基本となり、症状が改善しない場合にはステロイドを使用します。
農夫肺の発症を防ぐためには、菌の発生源となる干し草やたい肥をよく乾燥させることが大切です。当然治療後も原因となるもの(抗原)から離れて生活することが必要ですが、仕事上難しい場合には防塵マスクの利用が有効なケースもあります。